お酒を飲むと気分が良くなったり、体がふわっと軽く感じたりする「酔い」。その仕組みを知ることで、アルコールが体に与える影響を理解できます。本記事では、アルコールで酔う理由について、科学的な観点から詳しく解説します。
目次
アルコールが体内に入る仕組み
まず、アルコール(エタノール)が体内に入ると、胃や小腸から吸収されます。アルコールは水にも脂肪にも溶けやすい性質があり、この特徴が体中を短時間で巡る原因となります。その後、血液を介して肝臓や脳に到達します。
一部は肝臓で代謝されますが、全てを一度に分解することはできないため、残りが血液に乗って脳に届きます。この「脳への到達」が酔いの原因となるのです。

酔いの正体:脳への影響
アルコールは中枢神経に作用する物質で、特に脳の働きを抑制する性質を持っています。具体的には以下のような影響を与えます
1. GABA受容体への作用
アルコールは、脳内の神経伝達物質「GABA」を活性化します。GABAはリラックスや鎮静作用を持つため、アルコールを摂取すると落ち着いた気分になる一方、判断力や反射神経が鈍くなります。

2. ドーパミンの増加
アルコールは快感を生み出すドーパミンの分泌を促進します。そのため、楽しい気分になりやすいのです。ただし、ドーパミンが急激に増えると依存性を引き起こす可能性もあります。
3. 前頭葉への影響
脳の前頭葉は、判断力や計画性を司る部分です。アルコールがこの部分の働きを抑えることで、気が大きくなったり、感情のコントロールが難しくなったりします。
酔いの段階:アルコール濃度による違い
血中アルコール濃度(BAC: Blood Alcohol Concentration)が上がるにつれて、酔いの症状も変化します。
- 軽度(BAC 0.03〜0.05%):リラックスし、陽気な気分になる。
- 中程度(BAC 0.06〜0.10%):注意力や判断力が低下し、動きが不安定になる。
- 重度(BAC 0.20%以上):酩酊状態になり、言動が混乱する。意識を失うこともある。
- 致死量(BAC 0.40%以上):呼吸困難や昏睡状態を引き起こす可能性がある。

個人差が生じる理由
アルコールの影響には個人差があります。その要因として、以下のものが挙げられます:
- 体重や体脂肪率
体重が重いほど、アルコールの濃度が低くなるため酔いにくくなります。 - アルコール分解酵素の量
肝臓に存在する「アルコール脱水素酵素」の活性が強い人ほど、酔いにくくなります。 - 性別や年齢
一般的に女性や高齢者はアルコールの影響を受けやすいです。
アルコールが体に及ぼすリスク
アルコールの摂取には楽しい面もありますが、飲みすぎると健康を害するリスクがあります。
- 短期的なリスク:酔った状態での転倒や事故。
- 長期的なリスク:肝硬変やアルコール依存症、心疾患のリスク増加。
適量を守りながら、楽しむことが重要です。

まとめ
アルコールで酔う理由は、体内に取り込まれたアルコールが脳の神経活動に影響を与えるためです。その影響はリラックスや快感をもたらす一方、判断力の低下や依存のリスクも含みます。健康的に楽しむためには、適度な飲酒を心がけることが大切です。
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