カメには、私たち人間には想像もつかない驚きの生存戦略があります。それはなんと、「お尻で呼吸する」という能力です。特に冬眠中、カメは口からではなく、お尻の部分にある特殊な器官を使って酸素を取り込むことで生き延びています。このユニークな生態について詳しく見ていきましょう。
目次
カメが「お尻で呼吸する」仕組み
1. 肛門嚢(こうもんのう)とは?
カメのお尻には「肛門嚢」と呼ばれる特殊な器官があります。この器官は血管が豊富で、酸素を効率よく吸収できる構造になっています。
- 酸素の吸収
肛門嚢を通じて水中の酸素を血液に取り込むことができます。 - 二酸化炭素の排出
同時に、体内の二酸化炭素を排出する役割も果たしています。
2. なぜお尻で呼吸するのか?
冬眠中、カメは水中でじっとしているため、通常の呼吸(肺を使った呼吸)が難しくなります。そこで、肛門嚢を使った呼吸が生存の鍵となるのです。
- エネルギー効率
肺を使う呼吸よりも少ないエネルギーで酸素を取り込むことができます。 - 冬眠中の酸素供給
水中の酸素を直接吸収できるため、肺を動かさなくても十分な酸素を得られるのです。

カメが肛門呼吸をする状況
1. 冬眠中
冬眠中のカメは、湖や池の底の泥の中などでじっとしています。そこで肛門呼吸が活躍します。
- 冬眠中は代謝が低下しているため、必要な酸素量も少なくなります。
- 水中でじっとしている間、肛門嚢が酸素を吸収し、生存に必要な酸素供給を維持します。
2. 卵の孵化時
一部のカメの卵では、孵化前に卵の中の酸素を効率よく取り込むため、肛門嚢のような器官が活躍することがあります。
他の生物にも見られる類似の能力
カメだけでなく、他の生物にもユニークな呼吸戦略が存在します。
1. 両生類
カエルやイモリは皮膚呼吸が可能で、皮膚を通じて酸素を吸収します。
2. 魚類
一部の魚(例:ナマズ)は、腸や胃を使って酸素を取り込むことがあります。
3. 哺乳類(例外的なケース)
2021年には、実験的にネズミの肛門から酸素を供給できるという研究結果が報告されており、呼吸の可能性に新たな光が当てられています。
カメの肛門呼吸の意義
この特殊な呼吸能力は、カメが極限状態で生き延びるための進化の結果です。
1. 生息地に適応
カメは湖や沼、川など、冬に凍るような環境に生息している場合が多く、肛門呼吸がその環境に適応するための重要な能力となっています。
2. 代謝の効率化
エネルギー消費を最小限に抑えつつ、必要な酸素を確保することで、過酷な環境でも生存可能にしています。

面白い雑学:カメの多様な呼吸能力
- 皮膚呼吸も可能
一部のカメは皮膚からも微量の酸素を取り込むことができます。 - 肺呼吸と肛門呼吸の使い分け
活動時は肺呼吸、休眠中は肛門呼吸というように状況に応じて呼吸方法を切り替えることが可能です。
まとめ
カメが「お尻で呼吸する」という驚きの生態は、自然界の神秘と進化の驚異を感じさせます。寒冷地や水中環境に適応するために進化したこの能力は、カメの生存戦略の一つです。次にカメを観察する機会があれば、その驚異的な体の仕組みに思いを馳せてみてください。

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